2016年5月29日日曜日

Keynote

Keynote

先週研究室でKeynoteによるプレゼン(学生セミナー)を初めて行った。

今まで僕はまともにプレゼンを行ったことがなかった。
研究室では基本的にmacが使用されているから、学生・スタッフの発表も自然とKeynoteによるものが主流となる。
僕もこの際研究室の流儀に倣ってKeynoteでスライド作成を行った。

アニメーションのきれいさ、フォントの選択肢などの点において、KeynoteはPowerpointに優るとされている。
自分はいままでPowerpointをほとんど使った経験がないから二つを比較することはできないが、初めてスライドを作成する僕でもKeynoteは簡単に扱えた。
おかげでセミナー発表はなんとか無事終わった。
しかしながら、使いこなせていない機能もまだたくさんある。

今後自分が発表する学生セミナーは何回かあるし、来年には卒論発表会が控えている。
研究室にいるとプレゼンを行う機会はいくらでもあるから、これからもっとKeynoteの使い方を勉強し、面白く理解しやすいスライドを作ってみたいものだ。

2016年5月22日日曜日

東大生が利用すべき各種オンラインサービス

 本日の記事は東大内部生向けの内容である。僕は東大に入学して四年目だが、東大は学生に対し多くの有用なオンラインサービスを提供していると日々感じている。今回はそのいくつかを紹介しようと思う。
 ECCS2016への移行に伴ってECCSの学生向けメールサービスがクラウド化された。ECCS2012のメールサービスは殺伐としたメールアドレス((学生証に記された10桁の数字)+@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp)とその容量の少なさ(300MB)ゆえに、あまり使い勝手の良い仕様ではなかった。
 新しくなったECCSメールでは好きな文字列をメールアドレスに選べるし、容量無制限となった。仕様はほぼ通常のGmailと同じだから、Gmailを愛用する人間ならストレスなく利用できると思う。Googleドライブも容量5TBまで利用できるから、僕は研究室のmacにGoogleドライブアプリをインストールし、ほぼすべてのファイルの保存先をそこに指定している。研究室でダウンロードした論文や作成した文章を自宅でもすぐに確認できるようになった。Googleドライブでは自動的にファイルの差分バックアップをとってくれるので、「間違って必要なファイルを消しちゃった…」「編集しているうちにファイルを開けなくなった…」という事態が起こっても焦らずに対応できる。

 自宅にいるとき、あるいは外出先で、急に読みたい論文が出てくることがある。大学外のネット回線から論文をダウンロードしようと試みると、論文掲載雑誌との契約がないので通常課金を要求される。前もって大学のネット回線から必要な論文をダウンロードしておけばいい話なのだが、いつもその用意ができるとは限らない。そのようなときこのSSL-VPNを経由すれば、多少の手間はあるけれどもだいたいの論文を閲覧できるようになる。
 オープンアクセスではない論文を大学外から読みたいとき、このサービスはかなり重宝する。

 東大生のなかでは知名度の高いサービスなので説明は不要だろう。しかし僕は普段utroamを使用していない。理由は次のeduroamの項目を参照してほしい。

 eduroamとは、大学など研究教育機関で無線LANの相互利用をするためのシステムだ。東京大学はもちろんのこと、国内外の大学の多くがeduroamに参加している。つまり、eduroamに参加する別の大学を訪れたとき、eduroamのアカウントを持っていればそこで無線LANを利用できるのだ。最近ではヨーロッパを中心に公共施設にeduroamを取り入れる動きもあるので、海外旅行時で重宝するかもしれない。
 東京大学は内部の学生向けの無線LANサービスとしてutroamを掲げている。しかし実際はutroamのアクセスポイントとeduroamのアクセスポイントは併設されているから、学内での利用可能範囲はutroamとeduroamで同一だ。東大のeduroam FAQによると「学内のeduroam無線LANは、学外からのゲスト及びutroamのゲストアカウント用として整備されていて、本サイト発行のアカウントでの利用は想定されていません」とのことだが、仕様上は学内でも問題なく使える。
 学内ではutroamを使うことが推奨されているが、それとは別にeduroamアカウントを持っていても損はないだろう。僕はutroamに付きまとう半年ごとのアカウント更新が煩わしくてeduroam(アカウント有効期限が1年間)に乗り換えてしまった。

 東京大学の各組織がマイクロソフトと交わした契約により、東京大学の一部の学生や教職員はWindows OSやOffice製品などを個人用PC 1台にインストールできる。Windows 10 EducationやOffice 2016などの最新製品ももちろんインストール可能だ。自分の持っているPCにOfficeが入っていない学生、Officeの一部が入っているがPowerpointがインストールされていない学生などには利用価値の高いサービスだ。僕は秋葉原で拾ってきたOSなしジャンクPCにこのライセンスを利用してWindows 10 Educationをインストールした。
 工学系・理学系の学科・専攻ならほとんどのところでこのプログラムを利用できるが、残念ながら契約を交わしていない学科・専攻も多くある。

 東大は学内向けにNTPサーバーを設置している。研究室に置いているPCにNTPサーバのアドレスとしてntp.nc.u-tokyo.ac.jpを指定すれば、時間にとても正確なマシンの出来上がりだ。NTPサーバはネットワーク遅延を少なくするために最寄りのサーバを利用することが望ましいとされている。学内向けのNTPサーバーなら一般のNTPサーバを使う場合よりトラフィックや遅延は少ないだろう。


 ほかにも有用なサービスがあれば、ぜひ教えていただきたい。


(番外編)
  • 東京大学キャンパスカード
 入学手続きの際に勧められるがまま契約した東大生向けクレジットカードだが、僕は入学以来ずっとこのカード1枚でクレジット支払いを済ませている。表面に"THE UNIVERSITY OF TOKYO"と書かれている以外、外見・サービスともに特に目立った特徴のない学生クレジットカードだ。卒業後は「東京大学卒業生カード」に切り替わるらしい。最近申し込みの書類を大学生協で見なくなったが、まだ申し込みは受け付けているのだろうか。
 海外旅行自動付帯保険は一度海外でスマホを盗まれたとき利用した。おかげでいくばくかの端末代金が返ってきた。

2016年5月15日日曜日

五月祭

15日から本日16日まで、東京大学本郷キャンパスでは『五月祭』が開催されていた。

東大の学祭は年二回行われる。一つは五月に本郷キャンパスで行われる『五月祭』であり、もう一つは十一月に駒場キャンパスで行われる『駒場祭』だ。
本郷キャンパスには東京大学の教育・研究機関の多くが集中し、多くの学生が専門課程をここで学ぶ。それゆえ、五月祭では通常の学祭らしい模擬店・ライブイベントなどのほかに、本格的なアカデミック企画が多く催されていることが特徴的である。
僕は大学一年の頃五月祭に模擬店を出店し、大学三年では所属学科の学術展示を手伝った。

あいにく今年は研究室生活が忙しく、僕はほとんど五月祭にコミットできなかった。
企画者として関わったイベントはないし、そもそも土曜日は研究室のセミナーがあったので五月祭どころではなかった。
日曜日にようやく時間ができたので、午後から五月祭に出かけたのだった。

まず自分の所属するサークル、地理部の立体日本地図を見に行った。
昨年の駒場祭では七年の歳月をかけ完成した立体日本地図が展示されていたが、今回の五月祭ではその一部のみが取り扱われていた。
おそらく駒場祭の時ほど広い展示部屋を確保できなかったためであろう。
その代わり、合宿で訪れた恵那、多くの東大生が暮らす世田谷などについて、新たにピンポイントな立体地図が製作され、展示されていた。
せっかくなので高校生の知人をそこに呼び、立体地図を見てもらった。
ここまで規模の大きな立体日本地図は見たことがないからか、知人は熱心に写真を撮り、一緒に来ていた友達と地図について興味深げに話していた。

次に理学部一号館で物理学科による学術展示を訪れた。
実験コーナーに行くと、ちょうど友人が超伝導体に関する実演を行っていた。
自分たちでいくつかの無機化合物を混合・焼成し、超伝導体を作ったのだという。
実際に友人の作った結晶は、液体窒素中で超伝導を示していた。
超電導体の上から磁石をそっと乗せると、磁石は宙に浮いていた。
また、磁性流体に超伝導体を近づけると、磁性流体が特異的な挙動を示していた。
超伝導体内には磁場が侵入できない(マイスナー効果)ので、磁性流体は超伝導体を避けて動くのである。
友人の作った超伝導体。磁石が宙に浮いている
友人の作った超伝導体。磁石が宙に浮いている
そのあと、真空ゆらぎに関する展示を見ていた。
真空のゆらぎはきわめて微小なので、実験で観測することは困難だったそうだ。
地上十階で実験を行うと建物自身の揺れでうまく観測できなかったという。
地下二階でも同様に実験を行ったが、なんらかの要因で周期的な揺れが生じ、本来観測したい真空揺らぎは観測できなかったらしい。
ポスター担当の学生は、「東大の近くには地下鉄が通っているし、微小な揺れを観測するにはあまり適切な場所ではないのだと思います。もっと振動の少ない場所を確保しなくてはいけなかったのでしょう」と語ってくれた。

最後に、有志による女装子カフェを訪れた。
東大は女装文化が盛んで、駒場祭では毎年女装コンテストも開催されている。
今回の女装子カフェでは、過去の女装コンテスト出場者が(もちろん女装して)給仕として飲み物を提供していた。
後ろのほうではお酒を飲んで陽気にラップを口ずさむ男たちもいたが、客の多くは日頃から熱心にツイッターに傾倒している東大生たちだった。
カフェ内はちょっとしたオフ会のような様相を示していた。
「昔は僕も熱心にツイッターをやっていたが、最近は本業が忙しくなってツイートを見る時間も無くなってしまった。だが、たまにこうしてフォロワーとオフ会するのも刺激になっていい。」そんなことを思いながら、僕はフォロワーとしばらく歓談していた。

今年の五月祭はたった三時間の滞在だったが、普段見かけない知人たちに会い会話を楽しめたので、充実していたと感じる。
また十一月の駒場祭も同じように過ごせたら良いものだ。

2016年5月8日日曜日

研究室生活について(1)

研究室に配属されてから5週間が経った。
人の名前を覚えるのが苦手な僕だが、最近はようやく研究室メンバーの名前を間違えることもなくなった。

四月は慌ただしかった。
配属後一週間も経たないうちに教授から卒論テーマが与えられた。
自分のテーマについて以前どのような試みがなされ、いま何が問題となっていて、将来的にどのような応用が期待されているのか、そうしたことが全く分からないまま、いつの間にか卒論課題が決まっていた。
この一か月ほど初歩的な実験をしたり、論文を読んだり、同様のテーマに取り組んでいる先輩達の話を聞くことで、自分の課題に潜んでいる問題点がようやく明らかになりつつあると感じている。

専門知識をある程度講義で学んだとはいえ、実際に研究室に配属されると毎日のように自分の知識の不足を実感する。
テストに出題されるのは、講義で聞いたことがあるものだけだった。学生実験のレポートに書くべきことは、実験手引書か参考文献を読めばおのずと分かる。目の前にいる教官達は満点の解答例を知っていた。
ところが、研究に必要であるとか、見聞を広めるために論文を読んでみると、自分の聞いたことのない事柄ばかりで溢れている。たまに「学んだことがあるもの」をその中に見出すこともあるけれども、何か月も前に聞いたことだから記憶が曖昧になっている。それどころか、論文にすら「これはわからない、後の研究を待つ」と記されていることだってある。
実験をすれば「この手順には何の意味があるのか」「どのような方法を試せばよいデータが取れるのか」と様々な疑問が思い浮かぶ。そのうちのいくつかは教科書や論文を見れば書いてあることだが、なかには先輩や指導教官ですら知らない場合もある。
そのような体験を繰り返すうちに、「自分の研究で明らかにしたい対象は、今まで誰も知らなかったことだ」と僕は改めて実感するのだ。
何も知らないところから、過去に誰かが為し得たことを理解できるレベルに達するために、何冊かの専門書を読み、多くの時間を充てねばならなかった。今でも十分それを理解できるわけではない。依然多くの労力を充てなければならないだろう。

研究にはある程度の新規性が求められるが、それを為すべき僕の知識はまだ浅い。未熟ながらも必要ならば自ら何かを学び、場合によっては先輩達や教官の教えを乞いながら、未知の事柄を自分の研究生活を通して明らかにし、卒論として形にしたいものだ。

2016年5月1日日曜日

モノクロレーザープリンター

僕は三年前の春に大学進学のため上京した。
引っ越しが済んでから三日ほど経ったある日、僕は同郷の友人を誘い、新宿西口のヨドバシカメラを訪れた。
目当てのものはモノクロレーザープリンターだった。

実家ではインクジェット複合機が使われていたが、僕は常々その使い心地が気に入らなかったのだ。
インクジェット機はウォームアップに時間がかかるし、長い間使っていないとインクの出が悪くなる。
純正の替えインクはべらぼうに高いのに、すぐ使い切ってしまう。
紙面に汗が垂れたり、湿った手が印刷面に触れると、像が滲んで見栄えが悪くなる。
これでは蛍光ペンも満足に引けない。
「一人暮らしをするようになったら、下宿に置くプリンタはモノクロレーザープリンタにする」というのは、高校の頃に僕がずっと考えていたことだったのだ。
むろんお金があればカラーレーザープリンタにしたかったが、大学の講義資料やレポートを印刷するためにしかプリンタを使わなさそうだったから、僕は安価で手入れが簡単なモノクロレーザープリンタを買うことにしたのだ。
僕はデジタル写真のプリントはカメラ屋に任せているので、必ずしもカラー印刷できる必要はなかった。
1枚20円で数十年の耐久性がある高品質プリントが得られるなら、わざわざインク/トナー代が高い家庭用プリンタですぐ劣化する写真を印刷する意味は小さいだろう。

さて、ヨドバシカメラのプリンタコーナーに足を運んだが、僕の目的にちょうど良さそうなモノクロレーザープリンタはすぐ見つかった。
キヤノンのLBP 3100だ。起動後10秒も経たないうちに印刷を開始し、1分間に16枚のプリントを吐き出してくれるという。
値段は1万円もしなかったし、1000円のキャッシュバックまでついてくるという。
僕はその場で購入を決め、汗をびっしょりかきながら世田谷区の自宅までそれを持ち帰った。
僕のプリンタは想像以上に重たかった。軽いインクジェット機を買った同郷の友人は「大変そうだなあ」とにやにやしながら、階段の上から僕を何度も見下ろしていた。

ようやく家に帰ると、僕は梱包をとき、よく陽の当たるテーブルの上にプリンタを置いた。
そうして三年前僕のそばに鎮座することになったプリンタは、それから数百枚のレジュメと、たくさんの紙ごみを印刷してきた。
モノクロプリンタの動作は速いから、僕はその様子が見たくて英検の過去問を意味もなく何年分も印刷したこともあった。中身は全く目を通さずに終わった。当時受けた英検一級は当然ながら落ちた。
デスクトップPCが壊れメインPCをThinkpad X200に変えてからも、キャンパスの移動で世田谷の下宿を引き払い本郷近くのマンションに移ってからも、僕はそのプリンタを愛用している。
床の上に直接置くと埃が詰まるから、去年には近所の道具屋で専用のすのこ台を買ってあげた。
プリンタ
モノクロレーザープリンタ Canon LBP3100
僕の大学生活において八面六臂の活躍をしてくれたモノクロレーザープリンタだが、最近はご無沙汰気味である。
僕は研究室に配属され、いつでもカラーレーザープリンタで資料を印刷できるようになったからだ。
論文はカラーで読めたほうが視覚的に理解しやすい。
そして研究室のプリンタなら自分で表裏を差し替えなくても両面印刷できる。

いまでは下宿でベッドサイドテーブル程度の役割しか果たさなくなったモノクロレーザープリンタだが、三年たっても故障する様子はないし、トナーも一度変えただけだ。
まだまだ活躍する見込みはありそうだが、とりあえずは今日も僕の傍でおとなしくしておいてもらおう。