2018年4月1日日曜日

新年度を迎えて

今日から新年度が始まる。
僕は学年が上がり、修士2年生になった。
ちょうど2年前、今もお世話になっている研究室に新人卒論生として配属されたわけである。
2年前には修士2年の先輩が随分と頼もしい存在に見えたが、いま自分がその立場になってみるとどうだろう、頼りになるかは別として、年だけはすぐとってしまうのだという感想しか出てこない。

先週は日本大学(船橋)で開催された日本化学会に4日間参加していた。
僕も昨年に引き続き口頭発表をさせていただいた。
発表は先日Angewandte Chemie誌にアクセプトされた研究に基づいていたから、準備・質疑応答は気楽なものだった。
この研究内容について外部でプレゼンをするのはもう5回目くらいである。
論文を通す際にはAngew.誌の査読者から厳密でかつ真摯なコメントをいただいたし、聴衆からどんな質問が飛んでくるか、70パーセントは想像できるようになった。

いま自分は、研究を次のステップへ進めたいと痛切に感じている。
僕は博士号取得を目指しているから、まだ4年間は研究テーマを成長させるべきなのだ。
その礎として、この4月から共同研究先のWhitehead Institute for Biomedical Researchを数ヶ月間訪れる(留学する)ことになった。
研究内容はまだ具体的に確定していないが、自分が先の論文で提唱した方法を、共同研究先のテーマとうまく噛み合わせたいと考えている。
施設名に"Biomedical"とある通り、共同研究先はBio系の研究室なのだ。
なぜそこにChemistryを専攻する僕が滞在するかと問われれば、理由はいくつかある。
一つ、共同研究先が遂行している研究を自分の所属研究室で開発された手法と組み合わせれば、実験効率が飛躍的に向上する可能性がある。
二つ、僕はBioの研究や技術を自分で取り扱ってみたい。そして、Bioの視点から面白い研究対象は何か、価値のある問いが何かを理解できるようになりたい。
自分の扱えるChemistryの技術をBioの研究と組み合わせたとして、そこに新しいサイエンスが生まれうるのか?
BioとChemistryの融合により実験効率を向上させるだけでは、ただ既存の手法を組み合わせただけ、オリジナリティがないと評価されてしまう可能性がある。
4年以内にやってくるであろうD論審査に耐えるため、自分の存在がなくては実現できなかったであろう分野をブッたてるだとか、研究に何か強みをもたせたい。
三つ、ご縁があった。僕は共同研究先とB4の頃からメールベースでやり取りを交わしていた。サンプルをくださいだとか、こんな進捗がありましただとか、論文の進捗状況だとか、直接会った訳ではないけども、少なからず交流があったぶん僕は彼らに親近感を感じている。
Principal Investigatorの助教授は留学を歓迎してくれているし、これまでの協力に感謝し、今後も関係を深めていく意味を込めて、今度は同じ場で言葉を交わしながら研究をしてみたいと考えた。

研究室の教授からは「別に君に義務を課しているわけじゃない、何でもいいから留学先のものを吸収してきなさい」と後押しいただいた。
あと2週間でボストンでの暮らしが始まるが、それまでに英語でのコミュニケーションになるべく備えておこうと思う。

2018年2月18日日曜日

はじめての論文アクセプト

 このところ目まぐるしく忙しかった。ただ、「何かすることがある」という状態は、おそらく幸せなことである。退屈な生活を送っていると、時間のありがたみがわからない。何かを勉強しなくてはいけないと頭ではわかっていても、「ああ、どうせ後でできるから」「わざわざいまやらなくてもいいよ」と言い訳を作ってしまい、結局時間を無為に過ごしてしまう。もちろん怠惰の誘惑に負けることなく、時間を一瞬たりとも無駄にしまいと何かに打ち込める猛者を、僕は何人か知っている。ただ、僕はそんな真似をできなかったというだけだ。
 僕は大学時代に比較的暇な生活を送っていたが、そのころに比べると、休日の貴重さが身にしみてわかるようになった。研究室で過ごすようになると、平日は、実験をしたり、プレゼンを作ったり、論文を読んだりで、あっという間に時間が溶けてしまう。夜遅く下宿に帰ってきても、埃まみれの床や、書類が無造作に積まれたテーブルを整理する気にはならない。休日があるおかげで、僕の部屋は秩序だった状態を再び取り戻す。提出しなくてはいけない書類を、ほんの少し片付けることができる。昔よりは時間の使い方がうまくなったと感じている。(平日しなくてはいけないことを休日まで先延ばしにしているだけ、ともいえる)

 さて、最近、僕がはじめて書いた論文がアクセプトされた。内容は、僕が卒論提出後から行った実験に基づいている。
"Crystalline Sponge-based Structural Analysis of Crude Natural Product" (Angew. Chem. Int. Ed. 10.1002/anie.201713219)
僕は、筆頭著者として論文を書かせていただいた。まだひよっ子である修士学生にこの機会を与えてくださった研究室の教授には、感謝してもしきれない。論文を書き、実験を遂行し、両輪をうまく回しながら論文の中身を充足させていく過程は、とてもスリリングで、知的好奇心を満たしてくれるものだった。僕はたたき台となる原稿を執筆し、研究室の教授、共同研究先の准教授、アメリカ人ポスドクらがそれをよりサイエンティフィックに面白く、厳密で、英文として適切なものに訂正してくださった。そのおかげもあり、論文は約一ヶ月の査読期間ののち、ほぼすんなりとアクセプトされた。
 論文の要旨は誰でも読むことができるうえ、ここで内容について深く記すと著作権の侵害に触れるかもしれないので、中身をここで説明するつもりはない。が、とりあえず、これまで僕の進めてきた研究が一定の成果を生み出したことに安堵している。研究室外の方々に自分の研究内容を発表する機会は4年生の頃からあったが、この頃「面白い研究だ」と評価をいただけることが増えてきた。昔は議論が科学的な妥当性に関するもので留まりがちだっただけに、これは素直に喜ばしい。きっと自分の研究内容が、掲載レベルにまで精製されたことの証なのだろう。この論文をベースにして、来年の修士論文はうまく仕上げてみたいと思う。
 僕の所属専攻は、博士論文の審査を開始する条件として、査読付き論文を3報以上執筆していることを掲げているらしい。つまり、僕は、あと3年半以内に、まだ2報は論文を出さなくてはいけない。幸い、最近博士課程で挑戦したいことがおぼろげながら見えてきたので、これを何とか現実のものにしようと思う。近いうちに学振DC1の申請書を書かなくてはいけないが、これはいい機会だ。研究計画のビジョンを、この辺りでしっかり明文化しておく必要がある。

2017年11月5日日曜日

メモ23

 先週の研究発表は特にトラブルなく終わった。
 他に発表をする方々と念入りに発表練習をしていたし、スライドの試写は何度も行なった。プロジェクタの操作は博士課程の先輩が慎重にしてくださったので、特に僕が困る事態は起こらなかった。
 僕の研究はまだ未発表であるから、聴衆からどんな反応が返ってくるかが未知数であった。幸い、質疑応答では企業・大学研究者の方々が熱心に質問をくださった。発表後の休憩時間には、数名の方から個人的に研究に関する質問をいただいた。これから僕の研究が論文の体裁にまとめられレフェリーの元に届くとき、決して門前払いはされないであろうとの自信を得るに至った。
 とりあえず今のテーマはゴールが見えつつあるが、僕にはまだ大学院生として過ごす時間が4年半ある。その間に、また新しい分野に手を出してみたいし、境界領域で新しいサイエンスを育ててみたい。当然簡単な話ではないだろうが、やらなくて後悔するよりは、やって後悔した方が、自分の勉強になる。ただ、自分の分野に関してはしっかり勉強をしておきたい。自分の専門において軸足が脆いと、どっちつかずの研究しかできなくなるかもしれない。

 東京は、久しぶりに天気の良い週末となっている。母の誕生日が近づいているので、今日は池袋に出かけ、母向けにカシミアのストールを購入した。先々週初めてリーディング大学院からお金をいただいたことを受け、「初任給を使って親にプレゼントをする」という意味合いも込めている。もちろん僕はまだ社会人ではないけども、先月から経済的には独立している。ストールはこれから実家に送るつもりだが、二十数年間よくこんなドラ息子を養育してくれたな、と一筆添えることにしたい。

2017年10月29日日曜日

最近の研究状況

今月末、研究室主催の公開シンポジウムで成果報告をすることになっている。
聴衆の多くは企業の方々であるから、学会発表とは少し趣の異なった集まりとなるだろう。
サイエンティフィックに価値があることは当然として、コストパフォーマンスの面で優れた研究であるかが聴衆の関心を引くと考えている。
(学会発表の場でも、産業界の審査員は「これは何に使えそうか?」と学生に質問を投げかけることがあると聞いた

先週は教授・他の発表者とともに何度か発表練習会を行い、スライドやストーリーのブラッシュアップを行なった。
今回の研究内容は博士課程の先輩が9月に学会で発表したものであるから、スライドは大方まとまっていたし、新たにデータを取り直す必要はなかった。
(ただ、9月の学会発表のために実験を進めていた頃ほど苦しい期間はなかった。8月上旬の時点でまだデータは揃っていなかったが、その分野では権威ある学会だから中途半端なものを出すわけにはいかなかった。時間の制約、責任の重さがのしかかっていた。ただ、知識・技術面でサポートしてくれる共同研究者が近くにいたことは何よりも強みだった)

この週末は原稿の暗唱・質問対策を行なっている。
たった15分間の発表であるが、滑舌よく、淀みなく喋ることは、練習なくては容易ではない。
発表時に限って自分のペースを乱すトラブルが起こることもある(まだ一年半に過ぎない僕の研究室生活でも、それは何度か起きている)。
バックアップを用意しておく・事前にプロジェクタの動作を確かめておく等の準備に加え、原稿や考えうる質疑応答を頭の中に叩き込んでおけば、不測の事態が起きても自分のペースは乱されにくいはずだ。
研究プレゼンに関して、この一年半で学んだことである。

現在の研究テーマは終わりを迎えつつある。
公開シンポジウムの後は、論文の仕上げや次テーマの模索を行わなくてはいけない。
この二つを論文用データ採取と並行して行わなくてはいけないのが苦しいところだが、作業量としては一ヶ月ぐらいを見込んでいる。
決して楽とは言えないが、僕も今月から研究でお金をもらう立場となったからには、それに見合うアウトプットを出すつもりである。

ただ、今の研究が一段落したら、綺麗な景色を見ながら、美味しいものを食べたいものだ。
プライベートが充実すれば仕事も充実する、とは、社会人の先輩が口癖のように発していた台詞だった。
良い仕事、良い研究をするための対価がそれだと言うのなら、僕は喜んで払う(僕はもともと旅行好きなのだ)。

2017年10月22日日曜日

心にうかぶよしなしごと

気付くと前回の投稿から四ヶ月以上が経過してしまった。

言い訳がましいのだが、このブログへのアクセス数は去年夏をピークに減る一方で、それにしたがって僕も「誰にも読まれない文章なら書いても仕方がないな」と思い、更新を怠るようになってしまったのだ。
ところが、この頃友人や研究室メンバーから「最近ブログを更新していないね。もう書かないの?」と尋ねられることが多くなった。
僕としては、このブログを定期的に閲覧する人が存在する事実に驚きを覚えた。
このブログの内容が読者にとって有益と言い切れる自信を僕は持たない。
院生の本職たる研究の話ならともかく、僕はお世辞にも政治・趣味・社交に熱心とは言えないから、ここに記せることはせいぜい自身の近況、考え事くらいだ。
僕は同世代と比較してきわめて優秀というわけでも、情報収集力に長けているというわけでもないし、しいて特徴があるとすれば何かにつけて"諦めが悪い"ことくらいだろう。

だが、わずかながら「和田の書いた文章を読みたい」と言ってくれる人がいた。
僕のブログがどのように彼らの好奇心を掻き立てたのかは未だによく分からないが、そう言われたことには僕も満更でもない気分を感じた。

文章を書くことは、きっと僕にもメリットがある。
頭の中で湧き出た構想を文章にまとめることは、思いのほか難しい。
最近研究計画書(いわゆる学振の申請書に似たようなものだ)を作成する機会があり、それを痛感した。
自分の思考をサイエンティフィックに、論理的に、説得力を以って、他人に伝える技術は、実際に文章を書き続けなければ身につかない。
僕は将来研究者になりたいと考えている。
新しい概念や物質、あるいは手法を構想し、今まで不可能だったことを可能にしたい。
そのためには、自分の研究をサポートしてくれる人々に、研究の意義を説得できる必要がある。
それを目指すことで、自分の研究を独りよがりではなく、専門分野、あるいは広く科学界にとって価値のあるものに設定できるはずだ。
サイエンティフィックに価値があり、説得力のある文章を書く能力が、ブログを更新し続けることで養えるのかは、正直よくわからない。
ただし、少なくとも文章を書くことに対する心理的障壁を小さくできるはずだ。
文筆家・プレゼンターとしての能力に偏りすぎて、肝心の研究計画力が疎かになってはたぶん研究者として望ましくないけれども、その二つをインタラクティブに行えるようになれるならば、将来どこで仕事をするにせよ、強力な武器になるはずだと考えている。
論文を読んだり、研究室の報告書を作ったりする研究室でのルーチン(それはいずれも研究能力の向上を図って課せられているものだ)の中に、僕の独自の試みとして、文章を書くことである、ブログの更新を加えたい。
よって、これからは可能な限りブログを更新してみようと思う。

2017年6月25日日曜日

メモ22

来週はポスター発表を行うため、ケンブリッジで開かれる国際学会を訪れることになっている。
発表資料(ポスター)は概ねできている。
しかし、出発までに仕上げなくてはならない書類(申請書、レポート課題)がまだあまり整っていない。
身支度もあまり進んでいない。

せっかく初めてイギリスを訪れるのだし観光情報を調べたいところではあるのだが、後回しにせざるを得ない。

2017年6月11日日曜日

MacからMVNO SIMのテザリングロックを解除する方法

先日東海道新幹線でmacを開き、メールのやり取りをしようとした。
ところが僕が契約しているWi-Fiは東海道新幹線でサービスを提供しておらず、運の悪いことに僕のAndroid端末はDocomo MVNO SIMでテザリングができない仕様だったのだ。
Docomo製の一部のAndroid端末は、なぜかMVNOでのテザリングができないらしい。

今日、ネットの情報を頼りに、MVNOでもテザリングができるようにしたので、その方法を記しておく。
以下の方法はMac OS X Sierra (10.12.5)とXperia Z2での組み合わせで成功した。
(実行はくれぐれも自己責任でお願いします)

  1. OracleのサイトからJava SDKをダウンロード、インストールする
  2. Homebrewをダウンロード、インストールする
  3. ターミナルで brew install Caskroom/cask/android-sdk を実行
  4. ターミナルで android update sdk --no-ui --filter 'platform-tools' を実行
  5. スマートフォンの設定 > 端末情報 > ビルド番号 を何度かタップし、開発者向けオプションを有効にする
  6. 設定 > USBデバッグ を有効にする
  7. MacとAndroidをUSBで接続する
  8. ターミナルで adb shell を実行
  9. ターミナルで settings put global tether_dun_required 0 を実行
  10. ターミナルで Exit を実行し、AndroidとMacを繋いでいたUSBケーブルを外す
手順は、こちらのサイトを参考にさせていただいた。
おかげで今日は近所のファミレスからブログの更新ができるし、助かっている。